ブルースマクラーレンの果たせなかった夢である「マクラーレンの名を冠した」ロードカー。 グループCカーなどを連想するいかにもな戦闘的スタイリングは勿論だが、中央に配置されたドライバーシートや カーボン素材など、内装も只ならぬ空気を漂わせている。 1トン前後と言う軽量な車体を600馬力超のV12エンジンで動かすこの車の最高速は390km/hにも達する。 エンジンルーム内側の遮熱も純金が使われているところも普通の車とは言えないだろう。 職業ドライバーでさえも乗りこなすのが難しい程の性能を持ちながら 30秒おきに空気が入れ替わる程の高性能のエアコンに細かく重量を指定したケンウッド製の特注サウンドシステムも備えており、 性能一辺倒になって忘れられがちな「車として当たり前の快適さ」と言う大切なポイントも押さえていた。 奇才ゴードンマレーによって設計されたそれは、ブガッティヴェイロンの登場まで長らく市販スポーツカーの頂点に君臨していたマシンであり、 登場から20年以上が経過した現在においても一級の性能を誇るこの一台は、ゴードンマレーが目指した 「20世紀最後にして最大の工芸品」であることを疑う者はいないだろう。